ここで紹介する「螺旋の思考循環プロセス」は、
考え方を矯正したり、
感情をコントロールするための方法論ではありません。
また、
- 常に冷静でいること
- その場で正しい気づきを得ること
- 感情的にならないこと
を目標にするモデルでもありません。
むしろ、
- 感情に飲まれること
- 反応してしまうこと
- そんな自分に後から「あれ?」と気づくこと
それらすべてを含めた上で、
今もなお積み重なっている私の思考プロセスをご紹介します。
螺旋の思考循環プロセスの基本構造
私の螺旋循環プロセスは、実にシンプルです。
出来事
↓
アンテナ感知(違和感・引っかかり・モヤっと)
↓
気づき(その場/後からでもOK)
↓
「じゃあ、どうする?」選択肢を準備する
↓
決断(保留も含む)
↓
行動(何もしないも含む)
↓
次の出来事
↓
再びアンテナ感知へ
一見すると同じことを繰り返しているように見えますが、
この循環は、時計のような円ではなく、
私は、少しずつ高さの違う地点を通過し、進んでいく螺旋構造として捉えています。
同じ出来事に見えても、受け取り方や選択肢の数は、以前と少しずつ変わっています。
「使えていない時期」も、プロセスの一部
このプロセスについて、よく誤解されやすい点があります。
それは、
「常に意識して回さなければいけないもの」だと思われがちなこと。
でも実際には、
- 渦中にいるとき
- 感情が強く出ているとき
- 余裕がないとき
に、この循環をリアルタイムで意識するのは、誰にとっても難しい。
むしろ私は、
使えない時期があるというより、
「意識する余裕や必要がない時期だって当然ある」と考えています。
その場で気づけなくてもいい。
後から振り返ったときに、
「そういえば、あの時私はこう感じていたな」
「この出来事、ここに引っかかっていたんだな」
と、後ろ向きに観察してデータを拾えれば、それで十分。
ずっと意識の糸を張り詰めていれば誰だって疲れます。
この螺旋循環プロセスは、
意識できている時だけ回るものではなく、
生きている限り自然に動き続けているものなので、
常に意識なきゃと気負いしなくて大丈夫です。
感情が強く出る時期、思考が止まる時期について
感情が大きく揺れる時期や、
考えること自体がしんどくなる時期は、誰にでもあります。
それは失敗ではなく、
その人なりの防衛や回復のプロセスであることが多い。
この螺旋モデルでは、
- 感情が出すぎてしまったこと
- 反射的に動いてしまったこと
- 選択肢を準備できなかったこと
もすべて、ひとつのデータとして扱います。
できれば、
「今、感情が出過ぎているな」
「あとから考えると、ここで思考が止まっていたな」
と、どこかのタイミングで気づければ、それで十分。
気づけなかったことに、
後から気づくことも、ちゃんと変化です。
それらをすべて
「螺旋が1段進んだ証拠」として扱います。
結果として、
繰り返しているうちに、自然と一歩俯瞰した視点が育っていく。
メタ視点は、
努力で獲得するスキルというより、
反応と選択の積み重ねの副産物です。
この循環が積み重ねているもの
この繰り返しは、
- 失敗を減らすため
- 正解にたどり着くため
というよりも、
- 自分のアンテナの精度を上げる
- 何に反応しやすいかを知る
- 感情に「良い/悪い」をつけなくなる
ための、データ収集のプロセスだと思っています。
何度も繰り返すうちに、
- ネガティブな感情に無理に蓋をしなくていいこと
- 感情=自己否定ではないこと
- 少し俯瞰して眺める余白
が、自然と生まれてくる。
「じゃあ次は、別の選択肢を試してみようか」
と考えられるようになるかもしれないし、
「今回は保留でいいや」と思えるかもしれない。
どれも、大切な変化であり、前進です。
PDCAサイクルとの違い
この螺旋的思考循環は、
よく知られている PDCAサイクルと似て見えるかもしれません。
ただ、前提が少し違います。
PDCAは
- 目的が明確
- 成果や改善を測定する
- 外部評価と相性がいい
一方、この螺旋循環プロセスは、
- 明確なゴールがなくても始まる
- 違和感や引っかかりが起点
- 内部観測が中心
- 感情も重要なデータとして扱う
という特徴があります。
PDCAが「業務やプロジェクトの改善」に向いているとしたら、
螺旋的思考循環は、
生き方・選び方・自己理解のための、もう一つの考え方。
対立するものではなく、
私は、目的によって使い分けられると考えています。
また、思考だけでなく、
- 自己理解
- 感情処理
- キャリア選択
- 人間関係
- 技術向上
など、多くの場面で応用できるとも感じています。
つまりこれは、
心理モデルでもあり、
学習モデルでもあり、
意思決定モデルでもあります。
このモデルが、全体の土台にある理由
この螺旋循環プロセスは、
- 二次元4ゾーン
- 三次元ピラミッド構造
- 視点・陰陽の切り替え
すべての土台にあります。
ゾーンを「移動する」ことが目的ではなく、
理想の位置に留まるためでもなく、
ピラミッドの「上に行く」ことがゴールでもない。
今の反応に気づき、
揺れながら、動きながら、自分を観察できる状態を保つこと。
選び直せる余白を増やしていくこと。
そのための、
評価のいらない現在地確認ツールです。
良くするためではなく、まず把握するためのもの。
具体例:こんなとき螺旋プロセスは起きています
ここまで読んで、
「理屈は分かるけれど、実際にはどういうこと?」
と感じた方もいるかもしれません。
そこで、よくある場面をひとつ例に挙げてみます。
仕事で大きなミスをしてしまったとき
出来事
職場で明らかなミスをしてしまった。
アンテナ感知(違和感・感情のシグナル)
- 胸がぎゅっとする
- 焦り
- 不安
- 恥ずかしさ
- 自己嫌悪
この時点で湧いてくる感情に、良い・悪いはありません。
まずは「今、強い反応が出ている」という事実があるだけです。
自動的に浮かぶ思考
- 私はダメな人間だ
- 上司も同僚もきっと呆れている
- 評価が下がったに違いない
- もう信頼されないかもしれない
ここで重要なのは、
これらは「事実」ではなく、今の自分が作っている解釈だ
という点です。
これまでよくあった行動パターン
- 失敗を取り返そうとして、必要以上に仕事を引き受ける
- 一人で抱え込む
- 「次こそ完璧にやらなきゃ」と気を張り続ける
その結果、
キャパオーバーになり、
かえってミスが増える──
そんな悪循環に入ってしまうこともあります。
ここで起きている「気づき」
少し落ち着いて振り返ってみると、
本当に一番つらかったのは、
失敗そのものより
「もう二度と同じ気持ちを味わいたくない」
という強い恐怖や不安だった、
ということに気づくかもしれません。
ここで大事なのは、
「こう反応してしまった自分はダメ」と評価しないこと。
後から、
- 私はミス=人格否定に結びつけやすい
- 不安になると一人で抱え込む癖がある
と観測できた時点で、すでにデータは1つ増えている。
この「気づき」が、
螺旋の思考循環プロセスのひとつの節目になります。
次の螺旋で起きる変化(例)
次に似た場面が来たとき、
ミスをした瞬間に
「あ、今かなり不安が強いな」と気づける。
ここで大切なのは、
すぐに正解を出すことではありません。
例えば、こんな選択肢が考えられます。
- 謝罪とともに、どこでズレが生じたのかを整理して共有する
- Wチェックをお願いする
- リマインドや期限設定を仕組みとして見直す
- 「自分だけで解決しない」選択を取る
どれを選ぶかは、その時の状況次第。
すぐ完璧な行動は取れなくても
「一旦持ち帰ろう」とワンクッション置ける。
これができたら、それはもう立派な変化。
選ばなかった選択肢も、失われるわけではありません。
決断・行動 → 次の出来事へ
選んだ行動の結果、
- 周囲の反応
- 自分の感情の変化
- 新たな気づき
が生まれます。
もし思ったようにいかなかったとしても、
それは「失敗」ではなく、
次に備えるためのデータが一つ増えただけ。
こうして同じような出来事を通りながらも、
以前とは少し違う視点で、
次のプロセスに進んでいきます。
これが、
同じところをぐるぐる回っているように見えて、
実際には少しずつ位置が変わっている
螺旋的な循環です。
(補足)日常の小さな場面でも
例えば、好きな人からLINEの返信が来ないとき。
「嫌われたのかも」と不安になる
↓
追いLINEをする
↓
後悔する
ここで、
“「嫌われたかも」は、あくまで自分の想像であって、
LINEの返信が来ない本当の理由は、分からないな。”
と気付けば、
返信を待っている間の時間の使い方に選択肢が増えます。
そしたら、次の行動は、
「出来事に振り回された」のではなく
「自分主体で決めた行動」になっているかもしれません。
結果が同じでも、体験の質は変わります。
おわりに
このモデルは、
いつでも使えなければ意味がないものではありません。
ピンとこない時期があってもいいし、
今は必要ないと感じてもいい。
意識しない時期があっても、失敗ではありません
生きていれば、
感情に飲まれる日も、思考が止まる日もあります。
それでも、
後から振り返って
「あの時、私はこう感じていたな」と思えたなら、
それも立派な気づき。
螺旋プロセスは、
止まらず、焦らせず、
あなたのペースで回り続けています。




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